違いがわかる男になろう!
以前、ボイスベースの魅力というエントリーでも書かせていただきましたが、楽器のベースではなくあえて声でベーシングを行う意義として“スキャットの豊富さ”に焦点を当てました。
スキャットとは、その言葉自体には意味が無い音(便宜上”文字”とします)を自分の旋律に当てはめる方法です。つまり、文字になにを当てはめるかによって、ベースの雰囲気はとても変わってきてしまいます。
今回はVoiceplayが歌っている“ARTPOP”(レディー・ガガのアルバムcoverです)を題材にみていきましょう!
bmスキャットとdmスキャットの使い分け
Voiceplayのベース、Geoff Castellucciは「bm」というスキャットを基本としています。
33秒のところからみてみましょう。
公式の楽譜でも”bm”と指示されています。エレキベースのダウンストローク近い音が出ていますね。
ここで、ちょっと疑問を投げかけてみましょう。
上の部分、他の言葉ではダメなのでしょうか?
例えば、“dm”と打っても良さそうなものです。どうして”dm”ではダメなのでしょうか。
では皆さん、同じ部分を”dm”で打ってみてください。
…
いかがだったでしょう?
bmと打った時に比べて疾走感がなくなったように感じるのではないでしょうか。
それは、bmというスキャットでは、”b”という音を発音する際に、一時的に空気を溜めてから外に出します。その結果、勢いが生まれると同時に、後半に行くにつれて減衰していきます。これが勢いを生み出す所以です。
対してdmというスキャットは、”d”を舌を弾くことで発音します。舌は空気を溜めるというよりは、空気を止めるという感覚に近いものになります。その結果、bmスキャットに比べ、空気の圧が一定になります。
図示するとこのようなイメージになると思います。
以上の理由から、上記動画の部分では”bm”を使っていると思われます。
dmスキャットは先ほども書きましたが、均一に音を伸ばすことが出来ます。かつ、”uh”などに比べてアインザッツがわかりやすいです。
なんていうところから、パーカスなしの曲や、バラードには非常に相性が良いです。
例として、AJIのTSUNAMIをあげておきます。フィルインの部分以外は”dm”が使われていることがわかります。アクセントで”ba”なんて言葉も使っていますね!
この曲は編曲的にニヤニヤポイントが沢山あるので、非常にお気に入りです。また機会があったらご紹介しますね!
このように、bmを使うか、dmを使うかという一つをとってみても、そこには必ず理由があります。
そういったことを考えながらアカペラベースを聞いていると、人によってベーシングにも個性があることがわかると思います。逆に、スキャットをなにも変えていないベースがいたら、その人はなにも考えていない証拠です。笑
全国のボイスベーシストの皆様、後ろ指をさされぬよう、頑張りましょう!←←
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