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ピッチにとらわれない歌い方 - aiko「瞳」はピッチが暗い!?

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リードのピッチ

僕はアカペラを歌っていますが、アカペラという音楽の特性上、歌っている音のピッチというものは非常にシビアな問題です。あまりにハモらないとチューナーを片手に無理やり音合せを行う、なんてこともやっていました笑

勿論、それはリードも例外ではありません。しかし、純正律と平均律、なんて言葉があるようにチューナーの指示通りに歌えば完璧にハモるわけではありません。そして、あまりにピッチに固執しすぎてしまうと、リードの表現の幅を狭めてしまうのかもしれません。


"瞳"のサビ

aikoの曲に「瞳」という曲があります。aikoが友人とその子供に贈った曲と言われている同曲ですが、僕はこのサビの部分に違和感を感じました。というのも、一部明らかにピッチが暗い場所が存在するのです。

それは、サビの「すこやかにそだったあなたの まっしろなうじに」の部分のhiB♭、及びhiCです。

 

ね、ピッチが暗いでしょ?チューナーで測ってみても暗いことがわかります。

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これですべてのB♭のピッチが暗いままであるならば、この歌手のクセなのだろうな…で済んでしまいますが、別の場所のB♭(そんな時にもきっ)では、ほぼ正確な音程で歌い上げています。

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勿論、リード以外の音も混ざっているのでチューナーで正確な音程を測ることは出来ませんが、それにしても同じ音程で1目盛り近くの誤差が出るということは、わざと暗いピッチで歌っていることは明らかです。そもそもCD音源であればピッチ補正がかけられるはずですし。

では、当該部分を正確な音程で演奏してみたらどうなるのでしょう。と思っていたら、ウクレレで瞳をcoverしている動画がありました。

こちらのほうがすこやかに育っている感がある演奏のような気がします。しかし、あまりに整然としすぎていて、1オクターブの跳躍進行に対するエネルギー感みたいなものが伝わってこないような気がします。

ここで改めてピッチが暗い(と感じる)部分がどのような部分であるかを分析してみると、すべて下の音からの跳躍進行であることがわかります

midB♭→hiB♭

midG→hiC

そして、aikoも若干ポルタメント気味に歌っています。いわゆるしゃくりを用いています。

ということは、aikoは歌で上方向のベクトルに向かう力を表現したかったのではないでしょうか。では、ここで言う上方向のベクトルとはなんなのでしょうか。この「瞳」という曲が誰に贈られた曲なのかをもう一度思い出してみてください。そう、この曲は母親(友人)とその子供に贈られた曲です。

つまり、サビ部分では、子供がぐんぐんと成長するエネルギー感を現しているのではないでしょうか。であれば、歌詞が「すこやかに育ったあなたの…」であることもうなずけます。


と、ここまであれこれ考えたところで、aikoのライブ映像をみてみると、なんとaiko、当該箇所を正確な音程で歌っております。なんでだーーー!?偶然だったのかーーーーー!?!?

かと思えば、今問題にしているhiB♭裏の伴奏のピアノは、わざとリード部分の音(hiB)を弾いていません。青枠の部分がリードの音域です。

瞳

ね?ということはやはり聞かせたかった音なのでしょう。しかし、何故このような事を…。

どなたか有力情報をおもちの方がいらっしゃいましたら教えてください…。


 

aikoの真意はわかりませんが、ピッチが暗いことに対してほとんど違和感がありません。お恥ずかしい話ですが、僕自身、ピッチを変更してこの曲を聴きこんでいるときにはじめて気がつきました。

ずいぶんと回り道をしましたが、ここで冒頭の話に戻ります。声はピアノ等と異なり、一定の音程で演奏することが出来ません。自由度が高い分個々の能力差が如実に現れるという弱点もありますが、それは逆に自分の好きなピッチで伸び伸びと歌うことが出来る、という長所でもあります。現在我々は12音音楽を中心に音楽を捉えていますが、ピッチは必ずしもその12音に固定されるものではありません。

これらの話は虹の話に似ています。僕達日本人は虹を7色と捉えますが、昔の日本人は虹を5色と定義していたそうです。同じものを見ているにも関わらず、定義の仕方によって分類の細かさが変わってしまうのです。

このように、チューナーとにらめっこすることは必ずしも自身の表現したいことに直結するとは限らないのです。チューナーで中途半端だと評されている音にこそ、自分の中の正解が潜んでいるかもしれないです。"正確な音程"(「正確」の定義についていも意見が分かれるところですが)という呪縛から一度解き放たれて演奏してみてはいかがでしょうか。


※これらの話は、あくまでもある程度の基準が自分自身の中に出来た上での話であるでしょう。勿論最初から出来てしまう(またはそうなってしまう)人は別でしょうが。以前Gacktが歌の上達方法について語るというエントリーでもご紹介したように、gacktはまず自分自身の基準を身につけるためにとにかくチューナーとにらめっこしたそうです。まずは基本から。基本なしの応用などありえません。

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